File No.022 お茶とお風呂の関係
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「おい、お風呂の脱衣所に、なんか知らんけど、お茶の袋が置いてあったぞよ。
だれが、なんの目的で置いたんだ?
どうして、どおうして、風呂にお茶の袋が置いてあるんだあああ?
なぁ・ぜぇ・だぁ〜?」
風呂から這い上がった俺は、脱衣所にさりげなく置いてあったお茶の袋を震える手でしっかりと握りしめながら、愛する妻の待つ部屋へと急いで凱旋したのであった。
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これが問題のお茶の袋である。ワケあって小さく表示させていただいた。
なぜ小さく表示してあるのか、その答えはいずれ、驚愕の事実として明らかになるであろう。
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妻はひとり静かに、俺の訴えに耳も貸すこともなく、とてもおいしそうにチューハイを飲んでおった。
「なぁ・ぜぇ・だぁ〜」
俺は無視されるのが人生の中でもいちばん嫌なので、妻が気付くその時まで、
「なぁ・ぜぇ・だぁ〜」
「なぁ・ぜぇ・だぁ〜」
「どうしてお風呂にお茶があるの?」
「なぁ・ぜぇ・だぁ〜」
「なぁ・ぜぇ・だぁ〜」
お茶の袋を目の前に掲げながら、時に小さく、時に大きく、何回も必死でアッピールしたんだ。
俺のささやかな訴えにようやく気付いた妻は、まるで母性本能が目覚めた乙女のような笑顔を浮かべて、静かにこう呟いた。
「その袋、よーく見てごらん」

ふむふむ……、お茶だ。

いやぁ〜ん……。
………今にも吹き出しそうな、それでいて哀しそうな顔をしながらこちらを見つめている妻に向かって、俺は小さくウインクをしたんだ。
(そんな顔をしないで、さぁ、元気をお出し)
心の中でそう囁きながら………、俺はもう一度ウインクをした。
そしてお茶の入浴剤の袋を震える手でしっかりと握りしめながら、今し方汗と涙を洗い流したばかりの浴室に、急いで駆け戻ったのさ。
まさか、お茶が入浴剤になって流通していたとは…………、
まさか………、
まさか………!!
いかにカテキンブームとはいえ、こんなことが許されるなんて………。お茶の香りを嗅ぎながらお風呂に入るなんて………。
知らなかった………、
本当に知らなかった………。
一歩間違えば、愛する妻の目の前で大恥をかくところだったぁぜ。
風呂の脱衣所に辿り着いた俺は、何事もなかったかのように、先ほどと同じ場所にお茶の入浴剤を安置して、またひとつ賢くなったなぁ〜…………と、自分で自分を褒め称えたのであったよ。
それにしてもなぜ妻は、あんなに哀しそうな顔をしていたのだろうか。
それだけが気がかりだ〜ぜ。
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